東京燃料林産株式会社

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茶の湯炭について

茶道で炉や火入・香などに使われる炭は「茶の湯炭」「お茶炭」と呼ばれ、黒炭の一種です。
大きく分けて夏の風炉用、冬の炉用がありますが、流儀によって細かく規格が定められています。
茶の湯炭を作る炭材には「椚(くぬぎ)」「楢(なら)」「樫(かし)」「躑躅(つつじ・枝炭)」などが使われますが、茶の湯ではその中で最も火力があって美しい「椚」が好まれ、この断面の美しさから、茶の湯炭は「菊炭」と呼ばれることもあります。
茶の湯炭で有名なものに関西では池田炭、関東では佐倉炭があります。
池田は大阪の地名で、佐倉というのは現在の千葉県佐倉市辺りにあった、江戸時代の佐倉藩が集荷を行っていたところからきています。
どちらも集荷地・生産地としては廃れ、現在では関東以北の主な産地として、栃木・福島周辺などがあげられます。
茶の湯炭は、茶事の進行に合わせて湯が沸くように、名残を残すように作られています。
また、茶道具としても観賞に耐えられるものでなくてはなりません。
ほんの少し皮が剥げたり、色や形がまばらになっただけで、もう商品にはなりません。
他の炭との一番の違いは美しい炭材を択びとる目利きと、茶の湯で使えるように炭を切る加工技術にあります。

美しい炭材とは、炭にしたときに断面が真円に近く、樹皮が密着し、皮が薄からず厚からず、炭を焼いたときに出来る放射状のヒビと年輪が菊の花のように均等に円の中心から広がっているのが良いといわれます。
成長が早い木は、年輪が太くなり良くないといわれますので、土壌や日当りが良好な場所で育つ木は適さないと言えます。
ところが、日当りが悪すぎると皮が薄くなりすぎ、年輪も細かくなりすぎてしまうので、日陰なら良いという訳でもありません。
一方で、日当りが均等でない山の木は、幹の断面が楕円形に育ったり、年輪が偏ってしまいますので、炭に焼いても切り口が菊の花のようになりません。
一般の黒炭と異なり、炭材に適した、程好い木を択ぶところから製炭者の苦心が始まります。
細い炭では誤魔化せても、胴炭など太めの炭は違いが目立つので特に気をつけないといけません。
また春に木を切るのはタブーとされます。
これは、春の樹木が表皮と真皮の間に冬の間我慢していた水分や養分を一気に吸い上げるので、炭にしたときに表皮が剥がれ易くなってしまうからです。
仕上げとして、このように細心の注意を払って択ばれ、焼かれた炭に、茶の湯で使う大きさに合わせて切断する作業を行います。
ここで切り方が甘いと断面が斜めになったり、粉々に砕けたり折角焼いた炭を台無しにしてしまう恐れがあります。
また梱包の仕方や運搬が乱暴だと、やはり皮が剥がれたり割れたりしてしまいます。
こうして慎重にも慎重な作業を経て、実際に使われる茶人の方々の手許へと渡りますが、ここでも粉が出たり跳ねがあがらないように水で丁寧に洗い、天日で充分に乾かすという作業が待っています。
茶の湯に携わる方々の炭に対する悩みの一つは、洗ったときに割れたり皮が取れたりしてしまうことのようです。
ですから、木を伐り、炭を焼き、取扱い、熾す、という全ての工程において、茶の湯の心得と同様、目利きが大事で、道具を大切に扱うという日本の伝統文化を守らないと務まらない面があります。

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