炭火の熾し方
火種から熾す・・・<基本>
炭を燃料として使う為に火をつけることを「熾す」と言います。
古来火を熾すには色々な方法が用いられていますのが、
- ①小さいものから順に火をつける
- ②夏下冬上(かか・とうじょう)
- ③風(通気と上昇気流)を上手く使う
という3点が基本です。
まず、①について具体的に例示しますと、新聞紙⇒割り箸⇒黒炭⇒白炭、などといった具合に火のつきやすいものから順に種火を移してゆくことを表しています。
②は「夏の炭は暑がり冬の炭は寒がり」とも言われ、夏の暑い日は種火を下に置き上に向かって火が移るようにし冬の寒い日は種火を上に置いて下の炭に火が移るようにするというもので、先達の知恵です。
③については、コンロ下の通気口を開き、筒形のもの(底を取った空き缶など)を炭の上に立てて置いたり、切炭を筒形に組んで火種を円筒の中側に入れることで上昇気流による風が発生しますので、団扇やフイゴを使わなくても火が着き易くなる、ということです。
要するに、「温められた空気は上昇する」ということを利用して、通気口からの吸気と上昇気流による排気で「風の通り道」を作り、木炭に酸素を供給する訳です。
火熾し器や着火剤を使って熾す・・・<応用>
基本を理解したうえで、火熾し(火起こし)器や着火剤を使えば簡単に種火が作れます。ちなみに火熾し器の使い方は、直火に炭を入れた火熾し器を掛け数分から十分程度置けば炭を着火させられますし、着火剤は種火を作る火種として使用すると良いでしょう。
蓋つきの火熾し器を使うなど気をつければ、備長炭でも簡単に火が熾せます。
ただし、ゼリー状着火剤を炭の上に垂らすのは火もつかず危険でもありますので避けてください。
一酸化炭素中毒の防止・・・<注意点>
良い炭は着火しても赤く輝くだけで炎や煙は上がりません。木炭は炭素が主成分ですので、酸素と結びついて二酸化炭素を発生させて光と熱を出します。
ですから、着火する過程では不完全燃焼によって猛毒の一酸化炭素が多く発生しますので換気しないと危険です。
炭火を使うときはガスや電気以上に常に換気することをお薦めします。
品質の劣る炭ほど不完全燃焼が多いので一酸化炭素の発生も多く、煙も出易くなります。
炭火の消し方と再利用
木炭は水を掛けて火を消すのではなく、「火消壺(ひけし・つぼ)」で消します。
火消壺は珪藻土・鋳物・陶器などの材質がありますが、炭を消してから暫くは、火消壺が熱くなりますので、素手で触れないようにし、フローリングや樹脂系の床・机には置かないで下さい。
火消壺で消した炭は次回の「種火」としてご使用になれますし、「灰」は食材のあく抜き・洗剤・園芸用として利用できます。これも先達の知恵です。
火消壺が無い場合は、細かく砕いて砂を掛けるか、コンロの通気口を閉じ上部を鍋蓋などで密閉して炭を窒息させて消火します。
炭に水を掛けて消火すると水蒸気が高く上がり、爆跳の恐れもあり危険です。
また、種火や灰の再利用も出来なくなりますので避けてください。